2016年07月26日

鳥の学校報告(2015年):第7回テーマ別講習会「鳥類調査のための獣医学講習」

2016年7月26日
企画委員会(文責:吉田保志子)


鳥の学校−テーマ別講習会−では、鳥学会員および会員外の専門家を講師として迎え、会員のレベルアップに役立つ講演や実習を行っています。第7回は「鳥類調査のための獣医学講習」をテーマとして、2015年度大会の初日(9月18日)、兵庫県立大学神戸商科キャンパスで行われました。講師は、会員であり獣医師である高木(林)英子氏と葉山久世氏に担当いただきました。受講者は45名でした。

最初の講義は、葉山氏による「捕獲調査・サンプル採取・救護における衛生的な取り扱い 〜自分と周囲の人の安全を守り,他に感染症などを広げないために〜」で、捕獲、傷病鳥獣の世話、解剖、サンプリング等の、生体や死体を扱う、人獣共通感染症のリスクが伴う活動における衛生対策の知識と考え方について説明されました。実際の調査やボランティア活動等を想定した、危険度に応じた防護方法の例や、家庭用の塩素系漂白剤など身近で入手できる資材を使った実践的な対策方法も紹介され、受講者は自分が行っている活動と引き比べて理解を深めていました。

次の講義は、高木(林)氏による「現場でできる野鳥救護法 〜鳥の体の構造、現場で起こりうる事故や病気の概要とその応急処置法〜」で、捕獲調査において起こりやすい事故について、鳥の体の構造に基づく発生理由と対処・治療の方法について、豊富な事例や写真を用いて詳しく説明されました。鳥の種類に応じた安全な保定方法、輸送時の収容方法、給餌方法などについても、獣医師が用いる手法が詳しく説明されました。事前アンケートで希望が多かった、鳥の採血の手技については、動画を用いた説明も行われました。受講者からは、専門的な内容を具体的な説明で知ることができ、自分の活動に役立ちそうという意見が多く寄せられました。

消毒薬や衛生資材等の実物も展示され、2つの講義の終了後には、受講者はそれらを手にとりつつ、講師を囲んで自由な質疑が行われました。
2015鳥の学校_用具.jpg


講師のお二人からは、講義で使われたスライドを公開用に提供いただきました。当日の講義内容と、ほぼ同じものとなっています。野生動物の生体、死体、サンプルなどを扱うとき、自分や周囲の人の安全を確保するには具体的にどうしたらよいのか、鳥になるべく負担をかけない取り扱いや、鳥を傷つけてしまったときの対処方法など、当日参加されなかった方も、講義スライドからぜひ知識を得てください(上記文中の講義タイトルをクリック)。

受講者のなかからお二人が参加レポートを寄せてくださり(鳥の学校「鳥類調査のための獣医学講座」に参加して鳥の学校で学んだこと)、ご自分の仕事や研究との関わり、ためになった点などについて詳しく書いてくださいました。

なお、今年の鳥の学校−テーマ別講習会−は、2016年度大会の終了翌日の9月20日(火)に、「鳥類研究のためのGIS講習」を行います。鳥類の研究において、近年よく用いられるGIS(地理情報システム)について、無料のソフト「QGIS」を中心に、その基本的な使い方から応用例まで、専門家に詳しく解説していただきます。会場は、大会が行われる北海道大学札幌キャンパスから近い、酪農学園大学です。詳細は2016年度大会のサイトでお知らせしています。申し込み締め切りは2016年7月31日(日)です。
posted by 日本鳥学会 at 15:10| Comment(0) | 大会報告
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