2018年10月23日

鳥の学校「バイオロギング野外実習」に参加して

細田凜(日本獣医生命科学大学)

・はじめに
 ドラえもんの秘密道具とも言われるバイオロギング。その専門家に直接ご教授いただけることは大変貴重な機会であるため、この度参加することに決めた。

・バイオロギングとは 
 動物に小型の記録計(データロガー)をとりつけ、「動物自身に」行動や周囲の環境などを測定・記録させる画期的な技術だ。移動の記録に加え、様々なパラメータ(環境温度や、心拍数、採餌行動など)を同時に測定することも可能だ。これにより、生息域の特定や、渡り鳥のメカニズムの解明、環境モニタリングや生息海域の環境変化など種や生物多様性の保全に寄与することができる。
 ロガーには、防水機能付きものや再回収する必要のないもの、設定条件が揃うと自動で記録が開始されるものなど様々なタイプのものがある。また、パラメータの一つである「動き」を記録する加速度計は、XYZ軸の震えによって、その場所でどんな行動をしていたのかが分かる優れものだ。

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図1. 野外実習前にバイオロギングの基礎を学ぶ。

・実習
 舞台は、粟島。オオミズナギドリ有数の繁殖地だ。
オオミズナギドリの成鳥は、昼間沖合いで魚を捕り、夜になると巣に戻ってくるため、ロガーの装着・回収は真夜中に行われる。オオミズナギドリの営巣地では、オスの「ピーピー」、メスの「グワッ」という声が呼応し、月明かりに照らされた夜空を悠然と舞う姿は、神秘的なものであった。

1)ロガー装着
 実習一日目の夜は、成鳥にロガーを装着した。
ロガーの装着は、羽毛の上に直接接着材を付けて装着しているのかと思っていたが、実際はしっかりとテープで固定されていた。ロガーの装着方法は、背中の羽毛をめくってテサテープを敷き、同様に数枚並べていったら、その上にロガーを置いて丈夫なテサテープを巻き固定する。初めてのロガー装着は、テープから羽がはみ出てしまったが、良い体験だった。

2)ヒナの測定
 実習2日目の午後は、親鳥たちが海へ狩りに出かけている昼間に、巣穴にいるヒナの身体計測を行った。オオミズナギドリの巣穴は、海岸の急斜面にあるため、巣穴に行くのもかなりスリルがあった。巣穴からヒナを出すと、まだ灰色の綿毛に覆われてもふもふだった。ヒナを鳥袋に入れ、頭長や自然翼長など5項目と体重を計測した。

3)ロガー回収・解析
 実習2日目の夜は、装着したロガーの回収と解析を行った。
ちなみにもし再捕獲できなかったり、再捕獲する必要のないロガーの場合でも、羽に取り付けているロガーは換羽と共に外れるので、装着個体の永久的なストレスはないと考えられる。
 回収したロガーをPCにつなぎ、ロガー解析専用ソフトでデータをダウンロードした。地図に示されたオオミズナギドリが飛んだ軌跡を見たときには、こんなに飛んでいるのかと感心した。

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図2. 繁殖地内で捕獲した個体を計測する。

・まとめ
 バイオロギングは、その動物を通して様々なことを明らかにでき、それらを根拠に種や生物多様性の保全にも寄与することができる魅力的で興味深い技術だ。いつか鳥の研究ができる日が来たときには、ぜひともバイオロギングを使ってみたい。

・謝辞
 山本さま、松本さま、大学のみなさま、この度は大変お世話になりました。ご多忙の中、バイオロギングについて丁寧なご教授をいただき、誠に感謝申し上げます。
 川上さま、鳥の学校関係者の皆さま、このような貴重な実習の機会を与えていただき、誠に感謝申し上げます。

posted by 日本鳥学会 at 15:42| Comment(0) | 大会報告
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