2022年10月01日

東京農大北海道オホーツクキャンパス 野鳥研究会通信 その3

オホーツク野鳥研究会

日本鳥学会会員のみなさま、こんにちは。オホーツクキャンパス野鳥研究会です。この度の台風14号、網走では大きな影響はなかったようですが、大雨や暴風の被害に遭われた全国の方々には心よりお見舞い申し上げます。
さて、今週も引き続き気軽に訪れることのできる網走周辺の鳥見スポットをご紹介します。11月3日に開催される鳥学会大会公開シンポジウムのテーマは「流氷がくる海〜オホーツクの海と生き物たち〜」で、オホーツクの海鳥に関する講演も予定されています。そこで本シリーズ三回目となる今回は、海鳥観察に適した鳥見スポットをご案内します。

<網走市周辺鳥見スポット第三弾>
●能取岬
網走市街から約10km北に位置する、網走国定公園内にあるオホーツク海に突き出た岬には,白黒ボーダー模様の八角形の能取岬灯台が立っています。岬の周辺は切り立った海食崖で、崖下の岩礁が連なる荒々しい北の海の光景とは対照的に、崖上は平坦な台地に牧草地が広がり、北海道らしい牧歌的な雰囲気が漂います。東方には遠く知床連山が海に浮かび、眺望も最高です。
崖上に沿って柵が設置されており、その手前から海上や岩礁上にいる海鳥類を観察します。大会時期にあたる秋から冬はシノリガモがとても多く、その中にコケワタガモやホンケワタガモが見られたこともあります。ウミガラス類やウミスズメ類も比較的よく観察され、春・秋にはアビ類の大群が見られることもあります。海鳥観察をしていると、目の前をオジロワシやオオワシ、ハヤブサが通過し、台地上の草原や牧草地では、ハギマシコやツメナガホオジロ、ユキホオジロなどに遭遇することもあります。それ以外にも、ここでは渡り途中に立ち寄った思わぬ鳥に出会えるかもしれません。

<学会時期に観察される主な鳥>
シノリガモ・コオリガモ・アカエリカイツブリ・アビ・オオハム・シロエリオオハム・ハシボソミズナギドリ・ヒメウ・ウミウ・ミツユビカモメ・アカアシミツユビカモメ・カモメ・オオセグロカモメ・ハシブトウミガラス・ケイマフリ・ウミスズメ・ウトウ・オジロワシ・オオワシ・ハヤブサ・ハギマシコ など

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冬の能取岬(野鳥研究会部員撮影)

<能取岬へのアクセス>
市街から道道76号を北上して車で約15分。駐車場(無料)にはトイレがあるが、11月は閉鎖されている可能性が高い。


●網走港(網走川河口、港、親水防波堤ぽぽ260)
オホーツク海に注ぐ、一級河川網走川の河口部に位置する河口港。11月上旬は、港の内外と網走川の河口付近でカモやカモメをはじめとする沢山の海鳥類を観察することができます。とくにシノリガモやホオジロガモ、ヒメウが多く、近距離からの観察が可能です。天候に左右されますが、カモメ類は港内や周辺防波堤上で最も多く観察され、とくにミツユビカモメがたくさんいます。バスターミナル周辺のホテルからは徒歩圏内にある、河口や港に隣接する道の駅あばしり二階の食堂で、オホーツク海や海鳥を見ながら食事するのもお薦めです。
徒歩で行くのは厳しいですが、網走港の南側には、防波堤上を散策できる親水防波堤「ぽぽ260」があり、この防波堤上は沖にいる海鳥類の観察に適しています。学会時期には、アビ類を観察できるでしょう。上空には時折ヒシクイが通過するほか、海ワシ類の渡り時期でもあり、崖に沿って飛んでいる姿をよく目にします。

<学会時期に観察できる主な鳥>
ヒシクイ・オオハクチョウ・シノリガモ・ホオジロガモ・アビ・オオハム・シロエリオオハム・ヒメウ・ウミウ・ミツユビカモメ・ウミネコ・カモメ・オオセグロカモメ・ケイマフリ・ウミスズメ・オジロワシ・オオワシ など

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冬の網走川河口(野鳥研究会部員撮影)


3回にわたる野鳥研究会お薦めの鳥見スポットの紹介は、今回が最終回です。網走周辺にはさらに多くの野鳥観察地があります。網走市周辺に限らず、オホーツクエリアの探鳥地情報を知りたい方は、日本野鳥の会オホーツク支部web サイト「オホーツク探鳥マップ」をご覧になると良いと思います。
次回以降は、網走滞在に役立つ(かもしれない)耳より情報をお届け予定です。

posted by 日本鳥学会 at 09:32| 行事連絡

2022年09月04日

東京農大オホーツクキャンパス 野鳥研究会通信 その2

オホーツク野鳥研究会

 日本鳥学会会員の皆様、こんにちは。野鳥研究会です。こちらはそろそろ秋の気配です。8月末には,網走市街地より北に位置する常呂丘陵に,V字型になったヒシクイの群れが渡来しました。キャンパス内の樹木は早くも色づいています。皆さんが来られる頃には,丸坊主ですね。
 さて今回は、気軽に訪れることのできる網走周辺の鳥見スポット(第二弾)です。
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<網走市周辺鳥見スポット第二弾>

●濤沸湖
 2005年にはラムサール条約にも登録された,白鳥の湖として有名。読み方は「とうふつこ」で,アイヌ語で沼の口を意味する「トープッ(to-put)」を語源とします。オホーツク海に面した遠浅の湾が成長し,砂州に塞がれて誕生した,周囲27.3q,総面積900haの汽水湖です。四季を通して約250種もの野鳥が訪れる国内有数の渡り鳥の中継地で,近年では特定地域への立ち入りを制限する自主ルールも策定され,水鳥類の楽園となっています。
 JR網走駅から網走バスで約30分「白鳥公園入口」下車,徒歩5分ほどで白鳥公園に隣接した濤沸湖水鳥・湿地センターに到着します。または,網走駅から白鳥公園まで徒歩10分ほどの「北浜駅」まで釧網線に乗車すると,北国情緒あふれる車窓からオホーツク海の眺めが楽しめます。水鳥観察は湖東の白鳥公園と,道道467号にある湖西の平和橋がお薦めです。

*濤沸湖水鳥・湿地センターhttps://www.city.abashiri.hokkaido.jp/230boen_kankyou/tofutsu-ko/

<学会期間に観察が期待される鳥>
ヒシクイ・マガン・ハクガン・シジュウカラガン・オオハクチョウ・ヒドリガモ・アメリカヒドリ・マガモ・オナガガモ・コガモ・ホシハジロ・オカヨシガモ、ヨシガモ・キンクロハジロ・スズガモ・シノリガモ・ホオジロガモ・ミコアイサ・カワアイサ・ウミアイサ・カイツブリ・ミミカイツブリ・ハジロカイツブリ・カワウ・アオサギ・タンチョウ・ハマシギ・ユリカモメ・カモメ・シロカモメ・オオセグロカモメ・トビ・オジロワシ・オオワシ・ハイイロチュウヒ・ノスリ・アカゲラ・ハヤブサ・ハシボソガラス・ハシブトガラス・ハシブトガラ・ヒガラ・エナガ・ゴジュウカラ・カワラヒワ・アトリなど
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オオハクチョウの親子(鳥研部員撮影)


●こまば木のひろば
 網走駅やバスターミナルよりも山側(農大側)にある,農大生の多く住む駒場地区を中心に広がる森林公園です。自然に溢れた園内には四季折々の草花が咲き乱れ、エゾヤマザクラをはじめとした様々な樹木を見ながら散歩やバードウォッチングを楽しめます。エゾリスやエゾモモンガ、キタキツネなどに出会うこともあります。すぐそばに大きな道路が通り、住宅や商業施設が立ち並んでいるとは思えない,自然豊かな素晴らしい公園です。段丘上にあるためオホーツク海や知床連峰を一望でき,天気がいい日だと、写真のような光景を見ることができるかもしれません。ぜひ足を運んでみてください。公園入口に隣接する「はぜや珈琲」さんで温かいコーヒーをテイクアウトし,ベンチで少しゆっくりするのもお薦めです。網走駅やバスターミナルから網走バス「駒場8丁目」下車,最寄りの入口までは徒歩約2分ですが,入口は複数存在しますので,下記のサイトから案内図が掲載されたパンフレットをダウンロードしてお出かけください。

*こまば木のひろば https://www.city.abashiri.hokkaido.jp/040shisetsu/050sports/420kinohiroba.html
*はぜや珈琲さん https://hazeya-coffee.com/

<学会期間に観察が期待される鳥>
トビ・オジロワシ・オオワシ・コゲラ・オオアカゲラ・アカゲラ・ヤマゲラ・ハシブトガラス・キクイタダキ・ハシブトガラ・ヒガラ・シジュウカラ・シマエナガ・
ヒヨドリ・ツグミ・マヒワ・ベニヒワ・シメなど
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こまば木のひろばからのオホーツク海(鳥研部員撮影)

 第二弾はこれで終わりです。次回は気軽に行ける、網走周辺の海鳥観察スポットをご紹介予定です。
posted by 日本鳥学会 at 17:35| 行事連絡

2022年08月02日

東京農大北海道オホーツクキャンパス 野鳥研究会通信 その1

オホーツク野鳥研究会

日本鳥学会会員のみなさま,こんにちは。
日本鳥学会2022年度大会の開催地となりました,北海道オホーツクキャンパスの野鳥研究会です。網走で会員のみなさまにお会いできること,鳥に関するさまざまな研究発表に触れられることをたいへん嬉しく思っています。学会中の網走滞在がより充実したものになるように,これから,農大生目線でみた網走周辺の鳥見スポットやおススメの観光名所,食事処,注意点など、役立つ(かもしれない)情報を連載で発信していきたいと思います。大会に先立ち旅程を立てる際の参考にしていただければ幸いです。
さて、初回の今回は,気軽に訪れることのできる網走市周辺の鳥見スポット第一弾です。

<網走市周辺鳥見スポット第一弾>
●東京農業大学北海道オホーツクキャンパスフットパス:通称ファイン・トレール

オホーツクキャンパス内に作られた全長約5kmの散策路で,森林やオホーツク海などの自然景観と,農業の生産現場風景との共生と調和に関するプロジェクトの一環として,2002年に学生と教職員により整備されました。パッチ状に構成されるさまざまなタイプの森林内を巡るほか,一部は農場や家畜の放牧場に隣接します。天気が良ければ知床連山やオホーツク海を臨むことができ,開拓時代の遺産もあります。野鳥のほか,エゾリスやキタキツネなどさまざまな野生動物の生息地でもあり,学生の実習や調査に利用されています。また,動植物の四季の変化を楽しむことのできる,地域住民の憩いの場や散歩道としても親しまれています。
野鳥研究会は定期的にファイン・トレールで観察会を実施しており,学会開催時期には一時的に滞在するものも含めて,以下のような鳥たちを見ることができます。

[ファイン・トレールで会期中に観察できる可能性のある主な種]
トビ・オジロワシ(たまにとまる)・オオワシ(上空通過)・コゲラ・アカゲラ・クマゲラ(採餌)・ミヤマカケス・ハシボソガラス・ハシブトガラス・キクイタダキ・ハシブトガラ・コガラ・ヒガラ・シジュウカラ・ヒヨドリ・シマエナガ・ゴジュウカラ・キバシリ・ムクドリ・ツグミ・ハクセキレイ・カワラヒワ・マヒワ・ベニマシコ・シメ・カシラダカ・エミュー(飼育・鳥インフル感染防止のため現在非公開)

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ファイン・トレールでの冬の自然観察実習



ファイン・トレールには,どなたでも自由に立ち入ることができますので,学会プログラムの空き時間などに森の散策やオホーツクの風景をお楽しみください。また,大会期間中にはプチ・エクスカーションとして、ファイン・トレールにて朝の探鳥会を行います。私たち野鳥研究会の学生がガイドしますので,興味のある方は大会ホームページのエクスカーションのページをご確認ください。

posted by 日本鳥学会 at 09:27| 行事連絡

2019年11月06日

日本鳥学会津戸基金シンポジウム開催報告

宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団
嶋田 哲郎

 日本鳥学会津戸基金シンポジウム「 新技術をもちいた鳥類モニタリングと生態系管理 」(主催:嶋田哲郎、山田浩之、牛山克巳)が10月26日に北海道大学で開催されました。多くの方にご参加いただき、活発な議論が交わされました。報告の詳細は下記をご覧下さい。
https://miyajimanuma.wixsite.com/anatidaetoolbox/post/report-osj-tsudo-fund-symposium

posted by 日本鳥学会 at 12:31| 行事連絡

2016年10月19日

未来の学会のためにぜひ! 10月28日(金)まで延長 男女共同参画大規模アンケート

日本鳥学会会員のみなさまへ
2016年10月19日
企画委員会


10月8日(土)より始まった、男女共同参画学協会連絡会の第4回大規模アンケートの回答状況があまり芳しくないようです。前回の第3回大規模アンケートでは、生態学会、進化学会、動物学会、種生物学会等の自然史系学会の回答率が20%を超える中、鳥学会の回答率は8%でした。

この大規模アンケートの結果は、みなさまを含め、研究に関わる方々がよりよく研究生活を送るための施策のベースとなります。多くの回答を得るため、大規模アンケートの回答期限は10月28日まで延長されましたので、お知らせいたします。

回答は下記の男女共同参画学協会連絡会のホームページ 上で行えます。
http://www.djrenrakukai.org/

回答期限:10月28日(金)
鳥学会員のみなさまには、どうか積極的なご協力をお願い致します。
posted by 日本鳥学会 at 18:40| 行事連絡

2016年07月15日

日本鳥学会2016年度大会の講演申し込みの締め切りは本日(7月15日)です。

2016年7月15日
広報委員会


今年の鳥学会は9月16〜19日に札幌で行われます。
講演の申し込み締め切りは本日(7月15日)です。
まだお申込みされていない方はお忘れなく。
http://osj-2016.ornithology.jp/

宿泊先は、普通のホテル検索サイトでは満室のところが多いようですが、大会サイトからいけばまだ空きがあるようです。
posted by 日本鳥学会 at 13:15| 行事連絡

2015年11月18日

全国鳥類繁殖分布調査に参加しませんか?

2015年11月18日
植田睦之(バードリサーチ)

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最近,鳥が増えたり,減ったりといった変化を感じることありませんか? 日本鳥学会誌にも八ヶ岳でジョウビタキの繁殖が定着していることスズメの減少など鳥の生息状況の変化について報告した論文が掲載されています。

地域の鳥の変化については,いろいろな研究がされていますが,全国的な鳥の分布の変化を示した唯一の情報が環境省が行なった鳥類繁殖分布調査です。この調査は1970年代と1990年代に行なわれ,アカモズやチゴモズ,ヨタカやシロチドリなどがレッドリストに選定されることにつながりました。またこのデータは研究の上でも重要な情報で,日本で減少している鳥の特性の解析(Amano & Yamaura 2007)土地利用が鳥へ及ぼす影響(Yamaura et al 2009)などこの情報を使って書かれた論文がいくつもあります。

1990年代に行なわれた最後の調査から,もう20年が経とうとしています。その間に,外来鳥の増加や,シカの増加による植生の変化,震災の影響など,鳥の状況には変化がおきていそうです。そろそろ3回目の全国調査が必要です。しかし,残念なことに,これまで調査を行なってきた環境省には,もうそれを行なう体力がないそうです。

では,どうするのか? 「みんなでやるしかないでしょ」ということで,NGO,省庁,大学,地方の研究機関,野鳥関係団体の合同調査として,第3回目の全国鳥類繁殖分布調査を実施しようと準備をはじめました。

期間は来年2016年から5年間。全国に約2,300あるコースでの現地調査や任意定点調査,アンケート調査の結果をまとめて日本で繁殖している鳥の分布図を描きます。

この調査に皆さんも参加しませんか? 現地調査を担当していただくのも歓迎ですし「この種は任せて」ということで種の情報収集やとりまとめを担当いただくのも歓迎です。また,解析WGグループというのもつくっていますので,調査全体の解析に係わりたいという方も歓迎いたします。

詳細は,全国鳥類繁殖分布調査のホームページをご覧ください。現地調査への参加はホームページから参加登録いただき,取りまとめに係わりたいという場合は,植田まで直接お問い合わせください。

皆様のご参加,お待ちしています。

主催団体:バードリサーチ,日本野鳥の会,日本自然保護協会,日本鳥類標識協会,山階鳥類研究所,環境省 生物多様性センター
posted by 日本鳥学会 at 09:10| 行事連絡