2017年11月27日

第27回国際鳥類会議(IOC2018)の参加補助金を募集しています!

基金運営委員会

 2018年8月にカナダ,バンクーバーで開催される第27回国際鳥類会議(IOC2018)の参加登録が始まりました。日本鳥学会では、研究発表をする若手会員に補助金を交付します。補助金交付を希望される方は下記のウェッブサイトや和文誌にある要項に従い、ふるってご応募下さい。

伊藤基金によるIOC参加補助金の申請募集
 ウェッブサイト:http://ornithology.jp/iinkai/kikin/prizes.html#ito
 和文誌:66巻1号(2017年4月)学会記事

なお、補助金申請の締切は2017年12月28日(必着)、IOCへの要旨提出締切は2018年1月31日です。
お間違えのないようお申し込み下さい。
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2017年11月21日

鳥の学校「鳥類研究のためのDNAバーコーディング」に参加して

水村春香

 DNAバーコーディングは羽一枚、肉片一かけら、血液一滴からその持ち主を特定できる、夢のような種同定方法です。私は猛禽類のペリットや食痕からその食性を調べることがあるので、このDNAによる方法が使えれば、より精度高く餌の種同定ができるのではないかと考え、今回の鳥の学校に参加させていただきました。
 講習では講師の方々の説明を聞きながら、用意された謎の肉片の種同定を試みました。タンパク質の溶解、PCR、電気泳動、シーケンス反応、解析配列の決定を経て、世界中の生物のDNA配列がデータベース化されているBOLDシステムを用いて種同定するという一連の過程を体感することができました。実験過程は上記のように書くと短く感じられますが、これらの中にはさらに細かい過程がいくつもあり、DNA解析の苦労を実感しました。機械の問題で配列の解読ができないアクシデントもありましたが、用意されていた配列から無事に種同定できました。
 各種反応の待ち時間にはDNAバーコーディングの原理と応用、BOLDシステムの使い方を勉強しました。DNAバーコーディングにより形態では判別が難しい隠蔽種が発見され、バードストライクにおいては衝突を起こした種を血痕から同定し対策に役立てられているそうです。また、糞中の種子から種子散布する種を特定できるなど、様々な分野でこの技術が応用されていることがわかりました。そして全世界の鳥類のDNA解析を目標とし、世界中の研究者、研究機関が協力してBOLDシステムに標本とDNA配列を登録していることも初めて知りました。現在鳥類では4261種がBOLDシステムに登録されているそうです。今後さらに充実し、多様な分野で応用されていくのではないかと思います。
 DNAバーコーディングは設備や費用の問題もあり、誰でも今すぐに解析できるというわけではないと思います。しかしこの講習を受けて、手順を踏めば誰でも解析できること、そして何より分析の現場を体感することができました。時間の制約もあった中、数多くの実験内容をわかりやすく解説してくださった講師のみなさま、そして企画していただいた方々にこの場を借りて感謝申し上げます。

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各自のパソコンでBOLDシステムを参照

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「未知の肉片」の種同定の答え合わせ
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鳥の学校2017:DNAバーコーディング

黒沢令子

 2017年の鳥の学校は、筑波大学開催の鳥学会大会とシンポジウムが終わった9月18日から2日間、国立科学博物館の実験室で実習が行なわれた。受講生16人と聴講生6人に対して、講師4人と企画委員会から1人がついてくれるという恵まれた環境だった。
 まず、講師の齋藤さんから原理の説明があり、種名のわからない生物の体部からDNAを抽出して、種の同定をすることで、バンディングを含めて鳥類学、バードストライク対策、種子散布、また多くの人間活動の幅広い分野で応用が利く手法であるという話があった。
 実習では受講生は2つのテーブルに分かれて2〜4人のチームを組み、サンプルからPCR、DNAの抽出、シークエンシング、完成した配列をBOLD systemsを使って種同定をする工程を行なった。
 受講生は2日目の昼食時に自己紹介をした。その後親睦を図る時間をとる予定だったが、自己紹介が熱心だったので時間が満ちるほどだった。年齢層は思ったよりも幅が広く、若い人は大学2年生から、年配の人は退職後、野外研究を続けている人まで、老若男女がいた。目的も野外で拾った羽を種同定したい、糞や胃内容物から食物同定したい、個体識別をしたい等々、多岐にわたっていた。
 実験の各過程でうまくいかない場合もあったが、講師陣が事前にそうした事態を見越して必要な資料を準備しておいてくれたので、最後まで作業を続けることができた。通常なら、3日ほどかかる工程を、2日間の計16時間で駆け足で行なったことになるが、配布資料が充実していたので、ついていくことができた。
 個人的に役に立ったと思う点は、分子生物学の手法について全く経験がないと、翻訳など一般の人向けに説明するときにうまく伝えられないが、今回のように一通りの過程を実物に触れて体験したことで、自信が付いた。今後、新しい用語や技術に出会ったときにも、この経験を元にすれば、自力で勉強することができるのではないかと思う。
 一方、機材や試薬が高価なので、一般人が簡単に自力で実験を行なえるものではないこともわかった。少数のサンプルならば、外注するという方法があることも学んだ。
 年齢がいってから新しい技術に接したわけだが、実体験できたことで、たいそうな充実感を覚えている。企画・主催してくれた鳥学会企画委員会、共催と場所提供をしてくれた国立科学博物館、および講師の皆さまにくれぐれもお礼を申し上げたい。

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慣れないサンプル操作に真剣

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シーケンサーの設定を見守っています

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鳥の学校報告(2017年):第9回テーマ別講習会「鳥類研究のためのDNAバーコーディング」

企画委員会(文責:吉田保志子)

 鳥の学校−テーマ別講習会−では、鳥学会員および会員外の専門家を講師として迎え、会員のレベルアップに役立つ講演や実習を行っています。第9回は「鳥類研究のためのDNAバーコーディング」をテーマとして、2017年度大会の最終日午後から翌日にかけての1日半の日程で、国立科学博物館筑波研究施設で行われました(9月18-19日)。講師は、齋藤武馬(山階鳥研)、杉田典正(国立科博)、坂本大地(九大)、西海功(国立科博)の四氏に担当いただき、国立科学博物館との共催として実施されました。申込受付開始後まもなく16名の募集定員が一杯になってしまいましたが、実験機器の容量等の関係から増員はできないため、定員を超えた6名には聴講枠で参加していただき、合計22名が受講しました。
 通常であれば3日程度かかるDNA実験の操作手順を1日半にまとめるため、綿密な講習資料が用意され、実験操作がうまく進まなかった場合にも一通りの手順を体験できるように十分な準備がされていました。事前アンケートをもとに、DNA実験が初めての人と少し経験がある人を組み合わせたグループ編成がなされる等、よく練られた内容の濃い講習は、受講者にとって大変貴重な経験になったと思います。
 講習に使用された機器は実際に講師の方々が普段の研究に使用されているものであるとともに、受講者の様々な質問には複数の講師から即応の回答があり、DNAバーコーディング研究の最先端に触れる機会となっていました。実験器具の準備や機械の調整、施設の利用に関わる共催の手続き等、様々な手配をしてくださった講師の皆様、たいへんありがとうございました。
 受講者からは、概念のみで学習していたことを、今回の講習で実際の操作として体験でき、より深い理解につながった、近隣にある施設を利用して自分の研究にもDNAバーコーディングを取り入れることが出来そうだ、といった沢山の感想が寄せられました。
 講師の皆様から、当日の配付資料および参考資料を公開用に提供いただきました(資料[1][2][3][4][5][6]。今回参加されなかった方も、これらの資料からDNAバーコーディングに関する知識を得てください。
 鳥の学校−テーマ別講習会−は、今後も大会に接続した日程で、さまざまなテーマで開催していきます。案内は、ホームページや学会誌に掲載します。

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国立科博筑波研究施設の実験室で

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サンプルを遠心分離機にセット

 受講者のなかからお二人に参加レポートをお願いしました。ご自分の仕事や研究との関わり、ためになった点などについて詳しく書いてくださいました。お二人のレポートから、当日の様子を感じていただけると思います。

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2017年11月16日

66巻2号の注目論文は内田さんのコサギの減少についての論文に

和文誌編集委員長 植田睦之

アオサギ,ダイサギ,カワウ。こうした大型の水鳥は全国的に分布を拡げ,どこでも見られるようになってきています。反面,分布が狭くなっているのが小型の水鳥です。今回注目論文に選定された論文は,そうした水鳥の1つ,コサギの減少について示した論文です。

日本鳥学会誌 66巻2号 注目論文
内田博 (2017) 埼玉県東松山市周辺でのコサギの減少. 日本鳥学会誌 66: 111-122.


この論文は,1980年代から現在までの長期のデータに基づき,埼玉県東松山周辺でのコサギの減少について示し,その原因について検討した論文です。長期にわたる調査結果に基づきコサギの減少を示している点,原因について食物そして捕食者の両面から検討した点が興味深く,注目論文として選定しました。

なお,表紙写真も内田さんによるオオタカがチュウサギを捕らえたシーンです(コサギではないのが今号の表紙としてはちょっと残念ですが)。
オオタカに足環がついていることで「かご脱け」のオオタカじゃないかとネットで話題になっていましたが,調査のために個体識別された野生のオオタカです。

論文は以下のURLより,どなたでも読むことができます。
http://doi.org/10.3838/jjo.66.111
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2017年10月31日

2018年度学会賞募集のお知らせ

日本鳥学会では内田奨学賞、黒田賞を設けていますが、来年度からこれに中村司奨励賞が加わります。この度、この3つの学会賞の募集が始まりました。

・内田奨学賞:アマチュアの会員を励ます賞。過去3年間に発表した論文から審査。
・黒田賞:優れた業績を挙げ、これからの日本の鳥類学を担う若手・中堅会員に授ける賞。
・中村司奨励賞(新賞):国際誌に優れた論文(1編)を発表した30歳以下の若手会員に授ける賞。

いずれの賞についても、対象者、応募方法等の詳細は、日本鳥学会誌66巻2号の学会記事、あるいは学会Webサイト(http://ornithology.jp/)の「学会賞・助成」に掲載された募集要項をご覧下さい。

ぜひ、積極的な応募、あるいは推薦をお願い致します。

また、2018年にカナダで開催される国際鳥類学会議(IOC2018)に参加、発表する若手会員に対する補助金の申請も募集しています。日本鳥学会誌66巻1号、学会Webサイトを参照の上、こちらにも積極的に応募して下さい。

基金運営委員会
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2017年10月16日

日本鳥学会ポスター賞を受賞した感想

2017年10月16日
西條未来(総研大)

ポスター賞を受賞できてとても嬉しく思います。
私はまだまだ鳥に関して知らないことが多いので、今回の学会ではたくさんのアドバイスをいただけて、とても勉強になりました。来年の発表に活かしたいと思っています。ありがとうございました。
初めての鳥学会での受賞なので、来年の発表にプレッシャーを感じますが、来年以降も面白い成果を残せるように頑張ります。
副賞として、学会Tシャツとmont-bellのマウンテンパーカーをいただきました!ありがとうございます!去年のポスター賞受賞者で研究室の先輩でもある加藤さんと、うっかり色が被ってしまいました。

ポスターの概略
チドリ目の多くは、河原や砂浜などの開けたところで、地面に巣を作ります。そのため、チドリ目の雛や卵は強い捕食圧に晒されることになります。親鳥は雛や卵を守るために、様々な対捕食者行動を進化させてきました。
チドリ目の対捕食者行動は、大きく2つに分けることができます。1つ目は、モビングなど直接捕食者を攻撃する攻撃行動です。2つ目は、擬傷行動など、捕食者の注意を引き付けるはぐらかし行動です。多くの種は攻撃行動、はぐらかし行動のどちらかの行動をとります。しかし、行動どちらの行動を行うか、その生態学的・進化的な決定要因は明らかになっていませんでした。
本研究では、チドリ目の対捕食者行動の決定要因について、文献調査と系統種間比較を用いて、以下の点を明らかにしました。

@ 体サイズ
体サイズが大きい種は攻撃行動、小さい種ははぐらかし行動をとる種が多いことが分かりました。これは、体サイズが大きい種は卵、雛の防衛成功率が高いが、小さい種は防衛成功率が低く、怪我をする可能性があるためだと考えられます。はぐらかし行動は捕食者との距離が保てるので、攻撃行動に比べて安全であると考えられます。

A コロニー性
コロニー性の種は攻撃行動をとり、はぐらかし行動をとらなくなるような進化的推移があることがわかりました。これは、コロニー性の種は集団でモビングが出来るので、効率的に捕食者に攻撃ができるためだと考えられます。

B 営巣場所
樹上・崖の上に巣を作る種は、攻撃もはぐらかしもほとんどしません。樹上や崖は利用できる空間が限られていますが、地上に比べて捕食圧は低いと考えられます。そのため、樹上や崖に営巣すること自体が一つの対捕食者行動になっていると考えられます。

本研究では、チドリ目の対捕食者行動の種間差を生み出す生態学的・進化的な決定要因について明らかにしました。今後はフィールドに出て、行動観察から新しい発見をしたいと思っています。
来年もよろしくお願いします!

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posted by 日本鳥学会 at 13:36| Comment(0) | 大会報告